麻杏薏甘湯
NHKの大河ドラマ「どうする家康」が始まりました。
徳川家康といえば、健康管理に人一倍気を使っていて、漢方薬を自分で煎じて服用していたと伝えられています。
特に愛用していたのが、八味地黄丸を基盤にした漢方薬と言われています。
来たるべき決戦に備えて足腰を鍛えていたのでしょう。
今後の展開が楽しみです。
さて、今回取り上げるのは、78番の麻杏薏甘湯(まきょうよくかんとう)です。
関節痛、神経痛、筋肉痛に適応のあるお薬です。
麻黄(まおう)、杏仁(きょうにん)、薏苡仁(よくいんにん)、甘草(かんぞう)の4種類の生薬で構成されています。
麻黄は体表の痛み冷え冷えを発散する効果があり、余分な水分を除去する薏苡仁と組み合わせることによって、関節周囲や腱の腫脹を軽減する働きが強化されます。
杏仁も腫れをひきしめる作用があり、甘草は、からだのバランスを整えるために配合されています。
全体として、関節が冷えて水分が滞るために悪化する痛みに対して使用されます。
ただし、芍薬や附子などの痛みを抑える生薬が少ないので強い痛みには対応は難しいかもしれません。
その他の関節痛や筋肉痛に用いられる漢方薬をまとめておきます。
18番 桂枝加朮附湯 ⇒ 体力がない人の足の痛みやしびれ
28番 越婢加朮湯 ⇒ 熱や炎症のある関節痛
52番 薏苡仁湯 ⇒ 冷えて血のめぐりも悪い方の関節痛
53番 疎経活血湯 ⇒ 腰痛や坐骨神経痛
63番 五積散 ⇒ 冷えに伴う腰痛、神経痛
68番 芍薬甘草湯 ⇒こむら返りの筋肉痛
88番 二朮湯 ⇒ 冷えがある方の五十肩
89番 治打撲一方 ⇒ぎっくり腰や打撲
97番 大防風湯 ⇒体力のない方の関節リウマチ
参考:活用自在の処方解説 秋葉哲生著
漢方診療ハンドブック 桑木崇秀著
よくわかる漢方処方の服薬指導 雨谷栄・糸数七重著
漢方診療のレッスン 花輪壽彦著
Dr.浅岡の本当にわかる漢方薬 浅岡俊之著