ヘリコバクター感染症

helicobacter

mc05_007ca

ヘリコバクターピロリ感染症について

はじめに

ピロリ菌は、胃の中に生息するらせん形の細長い細菌です。1983年に発見されました。最初に報告したオーストラリアの2人の科学者は、後にノーベル医学賞を受賞しました。胃内は、胃酸のため強酸の環境であるため、細菌は住めないと長く思われていましたが、ピロリ菌は「ウレアーゼ」という酵素を分泌し、これが尿素を分解してアルカリ性のアンモニアをつくり、胃酸を中和しながら自分を守っています。
 ピロリ菌は、口から感染することが多いと考えられています。ただし、口からピロリ菌が入っても、実際に感染がおこるのは、免疫力の低い5歳以下のこどもに多いとされています。そのため、日本では、衛生状態が悪い時代に生まれた高齢の方が多く、若い世代ほど感染率は低くなっています。
 ピロリ菌に感染すると胃に炎症を起こします。慢性的な炎症があると胃の粘膜が弱くなり、さらにストレスが加わると弱った所に潰瘍ができやすくなります。胃潰瘍の約7割はピロリ菌が主な原因と考えられています。また、胃の粘膜が薄くなる萎縮性胃炎の原因にもなり、胃がんの危険因子となり得ます。

診断

内視鏡を用いる方法は次の3つです。

  • 迅速ウレアーゼ試験;内視鏡の生検で採取した胃の粘膜の組織を特殊な液体につけて液体の色が黄色からピンク色に変化すればヘリコ感染が確認されます。
  • 組織鏡検査:胃粘膜の組織を染色して顕微鏡で観察して直接ピロリ菌を確認します。
  • 培養法:胃の粘膜を培養してピロリ菌の存在を確認します。

内視鏡を用いない方法は次の3つです。

  •  尿素呼気テスト:検査用の薬品を飲む前と後の呼気の成分を比較してピロリ菌の有無を調べます。
  •  抗体検査:血液や尿中のピロリ菌に対する抗体を調べます。
  •  抗原検査:便中ピロリ菌の成分を調べます。

それぞれの検査で、長所、短所がありますが、当院では、主に迅速ウレアーゼ試験、尿素呼気テスト、抗体検査を患者さんの状態によって使い分けて調べております。

治療

ピロリ菌感染を保険医療で除菌治療を行うためには、内視鏡検査で、胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの所見があることと確認することが必要です。

除菌治療には、2種類の抗生剤と胃酸の分泌を抑えるお薬を併用して1週間内服して頂きます。1次除菌の成功率は90%前後と言われています。残念ながら除菌が成功しなかった場合は、2次除菌として抗生剤の1つを別な薬に変えて1週間服用します。2次除菌の成功率は95%程度です。すなわち、2次除菌までで、ほとんどの方は除菌成功が期待できるわけですが、除菌治療の副作用として発疹、下痢、腹痛、血便などがあり、程度の強い場合は治療の継続が難しくなります。特にペニシリンアレルギーのある方はお勧めできません。

その場合、3次除菌という選択枝もありますが、現在のところ、保険医療として認められておりません。除菌成功後に胃酸の分泌が回復するため、逆流性食道炎を発症することがあるので注意しなければなりません。また、除菌成功後にも胃がんの早期発見のための定期検査は必要です。

当院では、今後も積極的にヘリコバクターピロリ感染の診断、治療に取り組んで参りますので、お気軽にご相談ください。

logo02_m

診療時間
9:00~12:00
受付時間:8:45~11:30

--
14:00~18:00
受付時間:13:45~17:00
----

【休診日】 日曜・祝日

〒982-0011
宮城県仙台市太白区長町7丁目20番5号
ララガーデン長町4階