今回は、52番の薏苡仁湯(よくいにんとう)です。

関節痛や筋肉痛に適応がある漢方薬です。

薏苡仁(よくいにん)、麻黄(まおう)、桂皮(けいひ)、当帰(とうき)、蒼朮(そうじゅつ)または白朮(びゃくじゅつ)、芍薬(しゃくやく)、甘草(かんぞう)の7種類の生薬で構成されています。

薏苡仁と麻黄の組み合わせは、関節の痛みを和らげる効果があります。

桂皮で温めることによって、その効果を増強することができます。

当帰は、血を補い、血のめぐりを改善する生薬です。

朮は、水をさばく作用があり、関節内にたまった水分を取り除く効果があります。

芍薬は、筋肉の痛みを和らげる働きがあり、甘草は、からだの水分バランスを調整する生薬です。

全体として、貧血気味で皮膚がかさつき、関節に水がたまって冷えて関節や筋肉が痛むような方に効果が期待できます。

したがって、やや慢性期に入った関節リウマチの症状に使用されることがあります。

薏苡仁は、イネ科のハトムギの実を黒い皮を取り除いた種が原料の生薬です。

排膿作用があり、単独では、肌荒れやニキビ、水いぼなどに使用されますが、麻黄と組み合わせることによって関節痛にも効くようになります。

特に、天気が悪い日や梅雨時の関節周囲の痛みに効果が期待できます。

ハトムギの実

麻黄は、他の生薬との組み合わせで、様々な効果を生み出します。

麻黄+桂皮 → からだの表面を温めて汗をかかせる (葛根湯、麻黄湯など)

麻黄+石膏 → 熱を冷ましてむくみを取り、尿量を増やす(越婢加朮湯など)

麻黄+薏苡仁→ 関節痛を和らげる(薏苡仁湯など)

すばらしい効果がある一方で、胃腸障害などの副作用もあり得るので注意が必要です。

参考:活用自在の処方解説 秋葉哲生著

漢方診療のレッスン 花輪壽彦著

Dr.浅岡の本当にわかる漢方薬 浅岡俊之著

漢方診療ハンドブック 桑木崇秀著

自然の中の生薬 ツムラ株式会社