升麻葛根湯
今回は、101番の升麻葛根湯(しょうまかっこんとう)です。
感冒の初期や皮膚炎に保険適応のある漢方薬です。
中国の明の時代の医学書である「万病回春」に記載されています。
古典的には、麻疹(はしか)の初期にまだ発疹が十分に現れない時に用いて発疹を促す目的に使用されてきました。
全部で5種類の生薬で構成されています。
葛根(かっこん)は、体表の熱を発散する働きがあります。
感冒初期のうなじが張ったような痛みにも効果があります。
升麻(しょうま)は、発疹を促す作用がありますが、葛根と組み合わせで、さらにその作用が増強されます。
生姜(しょうきょう)は、体表を温め、軽く発汗させる効果があります。
芍薬(しゃくやく)と甘草(かんぞう)は、筋肉の緊張をやわらげ、からだの痛みを抑える組み合わせです。
芍薬には、血を補い、血流を良くする効果も期待できます。
升麻はキンポウゲ科のサラシナショウマの根茎が原料の生薬です。
発疹を促す作用の他に、気が沈んだ状態を持ち上げ、気を上昇させる働きがあります。
漢方では、気が下がることによって、内臓下垂がおこり、胃下垂、子宮下垂、脱肛の原因になると考えれています。
そのため、升麻を含む41番の補中益気湯はこれらの症状に対する適応があるわけです。
脱肛や痔に使用される3番の乙字湯にも升麻が入っています。
参考:活用自在の処方解説 秋葉哲生著
漢方診療ハンドブック 桑木崇秀著
よくわかる漢方処方の服薬指導 雨谷栄・糸数七重著
漢方診療のレッスン 花輪壽彦著
生薬と漢方薬の事典 田中耕一郎編著