今回は、3番の乙字湯です。

市販薬にもなっている痔の薬です。

乙字湯は、当帰(とうき)、柴胡(さいこ)、黄芩(おうごん)、甘草(かんぞう)、升麻(しょうま)、大黄(だいおう)の生薬で構成される処方です。

血のめぐりを良くし、出血を抑え、適度に便を柔らかくする効果があります。

今回は、この中で大黄という生薬を取り上げたいと思います。

 

大黄は、漢方で便秘に効果があるとされるお薬には、ほとんど含まれている生薬です。

ピンクの小粒として有名な西洋薬のセンノシドは、大黄の中の成分です。

このように西洋薬は、自然の中の生薬の成分を抽出して精製したお薬も多く存在します。

麻黄の成分のエフェドリンもそうです。

 

大黄は、タデ科の植物の根が原料です。

蓼(たで)というのは、「蓼食う虫も好き好き」ということわざにもあるように、強い匂いと味がする植物です。

最近は、品種改良で作られた食用大黄であるルバーブが人気です。

  ルバーブ

 

食材になるのは、茎の部分です。

美容にも良いと評判で、ルバーブをサラダやデザートの食材にしたレシピが紹介されています。

 

乙字湯に配合されている大黄は、他の便秘に処方する漢方薬よりは、かなり少ない量になっています。

これは、下痢気味になりすぎて何度もトイレに行くようになると、お尻が痛くて辛くなるからだと思います。

 

まとめます。

乙字湯は、痔の治療に使うお薬です。

量は少ないですが下剤が入っているので、ふだんから下痢気味の方には不向きなお薬です。

 

参考: 活用自在の処方解説 秋葉哲生