今回は、102番の当帰湯(とうきとう)です。

保険適応は、「背中に寒冷を覚え、腹部膨満感や腹痛のあるもの」となっています。

全部で10種類の生薬で構成されています。

山椒(さんしょう)、乾姜(かんきょう)、人参(にんじん)は100番の大建中湯の構成生薬で、いずれもからだを温める働きが強い生薬です。

黄耆(おうぎ)、桂皮(けいひ)、芍薬(しゃくやく)、甘草(かんぞう)は98番の黄耆建中湯の構成生薬です。

からだに元気をつけて、腹痛を抑える働きがあります。

半夏(はんげ)、厚朴(こうぼく)は、16番の半夏厚朴湯の主薬で気のめぐりを改善し、気分をさっぱりさせる効果があります。

これらに、血を補い、血のめぐりを改善する生薬である当帰(とうき)が加わる形になっています。

全体として、冷え性で、背中やお腹が痛み、貧血気味で疲れやすい方にピッタリのお薬に仕上がっています。

当帰は、セリ科のトウキまたはホッカイトウキの根を湯通ししたものが原料の生薬です。

血を補い、血のめぐりをよくする作用があります。

からだを温める効果もあるので、冷え性の女性の月経トラブルに使用する漢方薬には欠かせない生薬です。

当帰(引用:ツムラメディカルサイト)

 

トウキの花

参考:活用自在の処方解説 秋葉哲生著

漢方診療ハンドブック 桑木崇秀著

よくわかる漢方処方の服薬指導 雨谷栄・糸数七重著

漢方診療のレッスン 花輪壽彦著

生薬と漢方薬の事典 田中耕一郎編著

当帰湯で皮膚掻痒症が改善した1症例 川島春佳他 日本東洋医学雑誌 vol.67No3 280-284.2016