今回は、98番の黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)です。

98番から100番までは、建中湯類が続きます。

建中湯とは、おなかをしっかり建て直して丈夫にするお薬という意味です。

黄耆建中湯は、全部で7種類の生薬で構成されています。

桂皮(けいひ)、芍薬(しゃくやく)、大棗(たいそう)、甘草(かんぞう)、生姜(しょうきょう)は、43番の桂枝湯(けいしとう)と同じ構成ですが、芍薬が増量されていますので、腹部症状に良く処方される60番の桂枝加芍薬湯に相当します。

膠飴(こうい)は、トウモロコシ、イモ、コメなどのデンプンに麦芽汁を加えて発酵させて作った飴が生薬になっています。

消化機能を高めて、からだを元気にする働きがあります。

黄耆(おうぎ)は、体力を補う生薬で、汗を止める効果があります。

全体として、腹痛や下痢があり、体力が低下して不快な汗をかく様な状態に適したお薬となっています。

漢方では、汗がだらだらと出るのは、生命活動を支えるエネルギーである「気」が足りない状態(漢方では気虚といいます)の徴候であると考えられています。

黄耆は、皮膚を引き締め、汗を止める作用を持つ生薬で、人参とならんで気虚を改善する補気剤の代表格です。

人参と黄耆が両方入っている漢方薬を参耆剤(じんぎざい)といい、さらに強力な補気剤となります。

エキス剤では、補中益気湯十全大補湯帰脾湯、加味帰脾湯、人参養栄湯などがあります。

黄耆はマメ科のキバナオウギの根が原料です。

キバナオウギの花(引用:ツムラメディカルサイト)

 

今年の夏は、記録的な暑さが続きました。

身体の調子を崩した方も多くいらっしゃると思います。

暑さで体力を落として、汗をかきやすくなり、冷たいものを飲み過ぎて、おなかを壊したような時に、黄耆建中湯は効果が期待できるお薬だと思います。

 

参考:活用自在の処方解説 秋葉哲生著

漢方診療ハンドブック 桑木崇秀著

よくわかる漢方処方の服薬指導 雨谷栄・糸数七重著

漢方診療のレッスン 花輪壽彦著

生薬と漢方薬の事典 田中耕一郎編著