今回は、113番の三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)です。

ツムラのエキス剤の効能・効果は、「比較的体力があり、のぼせ気味で、顔面紅潮し、精神不安で、便秘の傾向のあるものの次の諸症:高血圧の随伴症状(のぼせ、肩こり、耳なり、頭重、不眠、不安)、鼻血、痔出血、便秘、更年期障害、血の道症」となっています。

黄芩(おうごん)、黄連((おうれん)、大黄(だいおう)の3種類の生薬で構成されています。

いずれも体内にこもった熱を冷ます生薬ですが、黄芩は横隔膜より上部(上焦といいます)、黄連は横隔膜より下から臍まで(中焦)、大黄はさらに下部(下焦)の熱を取ります。

黄芩と黄連の組み合わせは、芩連剤(ごんれんざい)と言い、半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)などの瀉心湯類に含まれる組み合わせです。

下剤効果のある大黄が加わることで、さらに強力に熱を体外に押し出す漢方薬になっています。

大黄は、血のめぐりを良くする作用もあるので、痔疾患や更年期障害にも応用されるわけです。

三黄瀉心湯は、「黄」の字が入った三つの生薬からなる瀉心湯ということが名前の由来になっています。

同じくのぼせや顔面紅潮があって便秘がない場合は、黄連解毒湯が用いられます。

どちらも、胃腸が弱く体力がない方には向きませんので注意が必要です。

黄芩は、シソ科のコガネバナの周皮を除いだ根が原料の生薬です。

上半身の熱を冷ます効果があり、炎症を抑える目的で様々な漢方薬に配合されていますが、肝機能障害や間質性肺炎などの副作用に注意が必要な生薬です。

コガネバナ

黄芩(引用:ツムラメディカルサイト)

参考:活用自在の処方解説 秋葉哲生著

漢方診療ハンドブック 桑木崇秀著

よくわかる漢方処方の服薬指導 雨谷栄・糸数七重著

漢方診療のレッスン 花輪壽彦著

生薬と漢方薬の事典 田中耕一郎編著