今回は、47番の釣藤散(ちょうとうさん)です。

血圧が高めの高齢者で、めまいや耳鳴りを伴う頭痛を訴える方に処方するお薬です。

釣藤鈎(ちょうとうこう)、麦門冬(ばくもんどう)、菊花(きくか)、石膏(せっこう)という4種類の生薬は、いずれも熱を冷まして痛みを和らげる効果があります。

陳皮(ちんぴ)、半夏(はんげ)、人参(にんじん)、生姜(しょうきょう)、防風(ぼうふう)は逆に体を温める効果があります。

防風には鎮痛作用もあります。

茯苓(ぶくりょう)は、水をさばいてめまいを改善し、甘草(かんぞう)は逆に水分を保持して脱水を予防します。

このように相反する効果のある生薬をバランスよく配合して、胃腸を守り、体力を整えながら、頭痛などの辛い症状を和らげていきます。

釣藤鈎は、アカネ科のカギカズラのとげのある部分を乾燥したものが原料の生薬です。

血圧降下作用、血管拡張作用、精神安定作用があると言われています。

カギカズラの花

カギカズラのとげ

 

毎度の事ですが、草木のとげを薬として使う発想はどうやって出てくるのでしょう。

本当に不思議です。

 

参考:活用自在の処方解説 秋葉哲生著

漢方診療のレッスン 花輪壽彦著

頭痛専門医・漢方専門医の脳外科医が書いた頭痛の本 来村昌紀著

新装版 漢方医学 大塚敬節著 創元社

自然の中の生薬 ツムラ株式会社