滋陰至宝湯
今回は、92番の滋陰至宝湯(じいんしほうとう)です。
虚弱な方の慢性の咳や痰に適応のある漢方薬です。
全部で13種類の生薬で構成されています。
柴胡(さいこ)、知母(ちも)、地骨皮(じこっぴ)は、熱や炎症を冷ます作用のある生薬です。
麦門冬(ばくもんどう)、貝母(ばいも)、陳皮(ちんぴ)は、咳や痰を抑える働きがあります。
香附子(こうぶし)、薄荷(はっか)は、気分をさっぱりさせる理気作用があります。
当帰(とうき)は、血を補う生薬であり、芍薬(しゃくやく)は痛みを抑える働きがあります。
茯苓(ぶくりょう)、白朮(びゃくじゅつ)は、余分な水をさばき、胃の負担を減らして体力をおぎなう効果があります。
甘草(かんぞう)は、からだのバランス調整のために配合されています。
全体として、からだに熱がこもって、体力も低下している方の咳や痰などの症状を緩和するお薬になっています。
ただし、冷え性の強い方には向きません。
地骨皮は、ナス科のクコの根皮を乾燥したものが原料の生薬です。
骨の形のような外観から名付けられたそうです。
慢性的にからだにこもった熱を冷ます効果があります。
その他に、肺を潤す効果や止血作用もあります。
クコの実も枸杞子(くこし)という生薬になります。
ビタミンが豊富で滋養強壮の働きもあり、薬膳料理にも利用されます。
中華料理のおかゆや杏仁豆腐にもちょこんと乗っていることがありますね。
参考:活用自在の処方解説 秋葉哲生著
漢方診療ハンドブック 桑木崇秀著
よくわかる漢方処方の服薬指導 雨谷栄・糸数七重著
漢方診療のレッスン 花輪壽彦著
生薬と漢方薬の事典 田中耕一郎編著