今回は、90番の清肺湯(せいはいとう)です。

粘調で切れにくい痰を伴う頑固な咳に対して使用するお薬です。

「ダスモック」という名前で市販薬としても流通しています。

全部で16種類の生薬で構成されています。

麦門冬(ばくもんどう)、天門冬(てんもんどう)、貝母(ばいも)、桑白皮(そうはくひ)、桔梗(ききょう)、杏仁(きょうにん)、五味子(ごみし)、竹茹(ちくじょ)はいずれも咳を止める効果のある生薬です。

陳皮(ちんぴ)は、去痰作用があります。

黄芩(おうごん)と山梔子(さんしし)は、胸部の炎症を取り去る効果があります。

茯苓(おうごん)は、水バランスを調整する効果に加えて鎮静作用もあります。

当帰(とうき)は、血のめぐりを改善する生薬です。

生姜(しょうきょう)、大棗(たいそう)、甘草(かんぞう)は、副作用を軽減し、胃腸を守るために配合されています。

全体としては、からだに潤いを与えて、咳を鎮める生薬が多いのですが、一部に水をさばく生薬も含まれています。

また、熱を冷ます生薬と温める効果のある生薬が混在しています。

したがって、体力も低下している慢性気管支炎の症状に、比較的長く安全に使用できるように設計されています。

喫煙者の咳痰にも頻用されますが、禁煙が一番重要であることは言うまでもありません。

貝母は、ユリ科のアミガサユリの麟茎が原料の生薬です。

花の形が編み笠に似ている事が名前の由来になっています。

アミガサユリの花

貝母という生薬の名前は、形が二枚貝に似ていることから名付けられました。

鎮咳、去痰、排膿作用などがあります。

妊婦さんには注意が必要な生薬です。

貝母 (引用 ツムラメディカルサイト)

 

参考:活用自在の処方解説 秋葉哲生著

漢方診療ハンドブック 桑木崇秀著

よくわかる漢方処方の服薬指導 雨谷栄・糸数七重著

漢方診療のレッスン 花輪壽彦著