柴苓湯
今回は、114番の柴苓湯(さいれいとう)です。
吐き気や下痢などの症状の急性胃腸炎に適応のある漢方薬です。
全部で、12種類の生薬で構成されています。
からだの炎症を抑える基本処方である小柴胡湯(9番)と余分な水分をさばいて体外に出す作用の強い五苓散(17番)が合体したお薬です。
当院でもよく処方するお薬で、整腸剤や抗生剤と併用することがあります。
潰瘍性大腸炎やネフローゼ症候群にも応用されますが、柴胡(さいこ)と黄芩(おうごん)が入っているので、長期に使用する場合は、肝機能障害や間質性肺炎などの副作用に十分注意する必要があります。
ツムラの柴苓湯では、蒼朮(そうじゅつ)が使用されており、クラシエ薬品の柴苓湯は白朮(びゃくじゅつ)が使用されています。
大きな違いはありませんが、白朮の方がやや体力をつける作用が強いとされています。
大棗は、クロウメモドキ科のナツメの果実が原料の生薬です。
甘味があるので、食用としても利用されます。
高ぶった気持ちを緩める作用があります。
また、生姜(しょうきょう)との組み合わせによって、お互いの副作用を緩和して、胃腸の調子を整える効果を発揮します。
ナツメの実の収穫期は、9~10月ですが、初夏には、こじんまりとした淡い緑黄色の花を咲かせます。
参考:活用自在の処方解説 秋葉哲生著
漢方診療ハンドブック 桑木崇秀著
よくわかる漢方処方の服薬指導 雨谷栄・糸数七重著
漢方診療のレッスン 花輪壽彦著
生薬と漢方薬の事典 田中耕一郎編著