小柴胡湯加桔梗石膏
今回は、109番の小柴胡湯加桔梗石膏(しょうさいことうかききょうせっこう)です。
扁桃炎や扁桃周囲炎などにで咽頭が腫れて痛む時に処方されるお薬です。
全部で9種類の生薬で構成されています。
まず、柴胡(さいこ)と黄芩(おうごん)は、炎症を抑える働きが強く、特に横隔膜の下が張って苦しい(漢方用語では胸脇苦満といいます)状態を目標に使用される生薬です。
人参(にんじん)は、体力を補う働きがあります。
半夏(はんげ)は、吐き気を抑える効果があります。
生姜(しょうきょう)、大棗(たいそう)、甘草(かんぞう)は胃腸の調子を整えるために配合されています。
ここまでが、7番の小柴胡湯(しょうさいことう)になります。
小柴胡湯は、ウイルス感染や細菌感染をこじらせて熱が続いたり、リンパが腫れたりした時に処方される漢方薬です。
これに、桔梗(ききょう)と石膏(せっこう)を加えたものが小柴胡湯加桔梗石膏になります。
桔梗は去痰作用、排膿作用があります。
石膏は強力に熱を冷ます効果があります。
したがって、小柴胡湯に適応がある方の咽頭痛に特化したお薬になっています。
ただし、石膏はからだを冷やす作用が強いので、元々冷え性な方や胃腸が弱い方には、注意が必要です。
その場合は、127番の麻黄附子細辛湯や138番の桔梗湯などを選択することになります。
桔梗は、キキョウの根が原料の生薬です。
咳を抑え、痰を除く効果があるので、気管支炎や咽頭炎に対するほとんどの処方に含まれています。
今年、はじめて投稿しました。
今年もどうぞよろしくお願い致します。
正月早々、大きな災害や事故が立て続けに起こってしまい、おめでたい気分も吹っ飛んでしまいました。
被害に遭われた方やご家族の皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
参考:活用自在の処方解説 秋葉哲生著
漢方診療ハンドブック 桑木崇秀著
よくわかる漢方処方の服薬指導 雨谷栄・糸数七重著
漢方診療のレッスン 花輪壽彦著
生薬と漢方薬の事典 田中耕一郎編著