小柴胡湯
気が付けばJリーグも佳境に入っていました。
わがベガルタ仙台はなかなか調子が上がっていませんね。
あきらめずに応援していきたいです。
さて今回は、9番小柴胡湯です。
風邪などの感染症が長引き、微熱や咳、嘔気、食欲不振などの症状に対して処方される漢方薬です。
身体のエネルギーを高め、水分のバランスや胃腸を守りながら、ウイルスや細菌による炎症を抑える非常にバランスの良い柴胡剤です。
前回の大柴胡湯の項で説明しました胸脇苦満や舌の白苔などを目安にして処方されます。
柴胡のほかに炎症を抑えるために重要な働きをするのは黄芩(おうごん)という生薬です。
柴胡と黄芩のコンビは最強のツートップと言えます。
8番~12番の柴胡剤には、このコンビが含まれています。
黄芩は、シソ科のコガネバナの根を原料とする生薬です。
柴胡同様に体の少し奥におこっている炎症を鎮める働きがあります。
小柴胡湯は、柴胡、黄芩のほかに、半夏(はんげ)、人参(にんじん)、大棗(たいそう)、生姜(しょうきょう)甘草(かんぞう)という生薬が配合されています。
前回の大柴胡湯がやや攻撃に前のめりであったのに対し、小柴胡湯は攻守のバランスが良いチームになっています。
水分バランスを保ち、体が脱水状態にならないようにするのが、ゴールキーパーの役割をする甘草です。
その前の大棗と生姜がしっかりと胃腸を守っています。
気分を高める効果のある半夏と体力を補ってくれる人参が両脇を固めます。
そしてツートップの柴胡・黄芩が体の少し奥に入ってしまった炎症を抑えるのです。
しかし、このツートップは少し気が荒い所があって、たまにイエローカードをもらってしまいます。
それが体に副作用として表れて、肝機能障害や間質性肺炎を起こしてしまう事があります。
したがって柴胡・黄芩が含まれる処方には、必ずこれらについての注意書があります。
間質性肺炎とは、ガス交換をする肺胞の外側に炎症が起こってしまう病気で、さらに進むと肺が硬くなる肺線維症になって命を脅かす状態になります。
小柴胡湯は、慢性肝炎という保険病名でも処方されます。
以前はC型慢性肝炎でインターフェロン治療をしている患者さんにも良く処方されていました。
その中で、間質性肺炎が悪化して死亡してしまった例が多数報告されました。
そのため現在はインターフェロンと小柴胡湯の併用は禁忌になっています。
このように病名だけで漫然と漢方薬をのみ続けるのは、危険な事につながることもあるのです。
小柴胡湯にかぎらず漢方薬を服用中に発熱や乾いた咳が続いたり、呼吸困難があった時は医師に相談する必要があります。
まとめます。
小柴胡湯は、風邪などの感染症が長引いた時に頼りになる漢方薬です。
しかし、長期に続ける時は肝機能障害や間質性肺炎の副作用に注意が必要です。
ベガルタ仙~台 頑張れ~
参考:活用自在の処方解説 秋葉哲夫著
漢方診療のレッスン 花輪壽彦著