桂枝加朮附湯
年明けから寒い日が続いていますね。
日本海側では、記録的な大雪となっており、大きな被害が発生しています。
被害に合われた方に、心よりお見舞い申し上げます。
今回は、寒い時期に悪化する腰痛や関節痛に効果のある漢方薬を紹介します。
18番の桂枝加朮附湯です。
桂枝加朮附湯は、風邪の初期によく使われる桂枝湯(45番)に蒼朮(そうじゅつ)と附子(ぶし)がトッピングされた形になっています。
蒼朮は、キク科のホソバオケラの根茎が原料の生薬です。
前回の五苓散にも含まれており、水をさばく効果があり、むくみを改善します。
メーカーによっては、蒼朮の代わりに白朮(びゃくじゅつ)を使用することもあります。
白朮は、オケラまたはオオバナオケラの根茎を使用します。
白朮は、蒼朮に比べて水をさばく効果はやや弱いですが、体力を補う効果が強いとされています。
附子は、トリカブトの根が原料の生薬です。
トリカブトはサスペンスドラマでよく完全犯罪に利用されますが、薬容量では、身体を温めて痛みを和らげる作用があります。
寒くなると関節に水分がたまりやすくなり、冷えが生じ、痛みが増してしまいます。
桂枝湯にも身体を温める働きがありますが、蒼朮あるいは白朮の作用で水分を除き、附子でさらに温めて痛みを改善するというわけです。
まとめます。
桂枝加朮附湯は、寒さで痛みが悪化するような慢性の関節痛や腰痛に効く漢方薬です。
湿布を貼ると冷えて却って痛みが強くなる場合は試してみたいお薬です。
あまり副作用はありませんが、甘草が入っているので長期に使う場合は血圧の上昇や低カリウム血症には注意が必要です。
参考:活用自在の処方解説 秋葉哲生著
Dr.浅岡の本当にわかる漢方薬 浅岡俊之著
漢方診療のレッスン 花輪壽彦著
自然の中の生薬 ツムラ株式会社版
高齢者のための漢方診療 岩崎鋼ら著