今回は、81番の二陳湯(にちんとう)です。

悪心、嘔吐に適応のある漢方薬です。

半夏(はんげ)、生姜(しょうきょう)、茯苓(ぶくりょう)、陳皮(ちんぴ)、甘草(かんぞう)の5種類の生薬で構成されています。

半夏、生姜、茯苓は妊婦さんのつわりにも使用される小半夏加茯苓湯という漢方薬と同じ構成です。

吐き気やめまいを抑える働きがあります。

陳皮は、みかんの皮を乾燥されて作られる生薬で、胃の運動を促し、胃にたまった水分や食物残渣を排出させる効果があります。

甘草は、水分バランスを整えるために配合されています。

二陳湯に、人参(にんじん)、朮(じゅつ)、大棗(たいそう)という生薬を加えたものが43番の六君子湯になります。

六君子湯から半夏、陳皮を除いたものが75番の四君子湯です。

 

 小半夏茯苓湯 : 半夏 茯苓 生姜

 二陳湯    : 半夏 茯苓 生姜 陳皮 甘草

 六君子湯   : 半夏 茯苓 生姜 陳皮 甘草 人参 朮 大棗

 四君子湯   :    茯苓 生姜    甘草 人参 朮 大棗

 

この4つの漢方薬の使い分けについて、ごく簡単にまとめてみました。

まず小半夏茯苓湯は、つわりのような比較的急性期の吐き気の用います。

二陳湯は、吐き気が遷延した慢性期の吐き気に良いとされています。

六君子湯は、吐き気が続いて、食欲、体力が低下してしまった時に用います。

四君子湯は、腹部症状が改善した後の体力維持に良いと思います。

同じ「吐き気」に対して効能のある薬を、病気の時期や体質によって使い分けるのが漢方薬の難しいところであり、面白いところです。

 

温州ミカン 陳皮の原料になります

参考:活用自在の処方解説 秋葉哲生著

漢方診療ハンドブック 桑木崇秀著

よくわかる漢方処方の服薬指導 雨谷栄・糸数七重著

漢方診療のレッスン 花輪壽彦著

六君子湯、小半夏加茯苓湯が無効なのに、何故、二陳湯が有効だったのか?~遷延性嘔吐症の一例~ 越路正敏ら 日本東洋医学会誌 vol70No.4 384-391,2019