当帰芍薬散
今回は、23番の当帰芍薬散です。
23番から25番の3つの漢方薬は、女性の様々な症状に対応する代表的な処方のシリーズです。
当帰芍薬散は、色白でやせ型の比較的体力のない方に適する処方で、肩凝りやめまい、冷え性などに用いられます。
不妊症や妊娠時の諸症状にも使われる安全なお薬です。
当帰(とうき)、川芎(せんきゅう)、芍薬(しゃくやく)、茯苓(ぶくりょう)、沢瀉(たくしゃ)、蒼朮(そうじゅつ)または白朮(びゃくじゅつ)という6種類の生薬から構成されています。
いくつかの生薬が集まると、まるでラグビーやサッカーのチームのように個々の生薬単独では成し得ないような特別な作用が生まれます。
例えば、当帰、川芎、芍薬、地黄という生薬で構成される四物湯という漢方薬は血を補い、血のめぐりを良くする作用を持ちます。
これらを含む漢方薬は補血剤と言われます。
当帰芍薬散は、この中で消化器系に負担のかかる地黄が除かれており、水をさばいてめまいや浮腫に効果のある五苓散に含まれる3つの生薬が配合される形になっています。
このため、妊婦さんや体力のない女性にも安心して使えて、貧血やむくみの訴えに効果が期待できるわけです。
当帰芍薬散は、色白で華奢な女性によく使われます。
昔から漢方医は、当帰芍薬散に適応があるような可憐な女性を当芍美人と呼んでいたそうです。
武久夢二が描いていた女性のイメージがぴったりと言われています。
参考:活用自在の処方解説 秋葉哲生著
Dr.浅岡の本当にわかる漢方薬 浅岡俊之著
漢方診療のレッスン 花輪壽彦著
よくわかる漢方処方の服薬指導 雨谷栄・糸数七重著