今回は、57番の温清飲(うんせいいん)です。

皮膚の色つやが悪く、ほてりや頭のふらつきがある場合に処方されます。

女性の月経不順や月経困難に良く使用されますが、熱を伴った乾燥性の皮膚病変にも応用可能です。

全部で8種類の生薬で構成されています。

名前の通り、からだの熱を冷ます生薬と血のめぐりを良くしてからだを温める生薬が混在しています。

黄芩(おうごん)、黄連(おうれん)、黄柏(おうばく)、山梔子(さんしし)は、すべて熱を冷ます性質があり、黄連解毒湯の構成生薬です。

当帰(とうき)、芍薬(しゃくやく)、川芎(せんきゅう)、地黄(じおう)は、四物湯の構成生薬で、血を補い、血のめぐりを良くする働きがあります。

からだの熱ののバランスをうまく調整しながら、目標の状態に近づけていきます。

ただし、冷え性が強い方や血気盛んな方は対応が難しいお薬です。

山梔子は、アカネ科のクチナシの実が原料の生薬です。

熱を冷まし、炎症を抑える働きがあります。

山梔子を含む漢方薬の長期連用で、腹痛、下痢、嘔吐などの症状をきたす事があるので注意が必要です。

クチナシの花

将棋盤や囲碁盤の足は、クチナシの花をモチーフにしています。

これは、棋士が真剣勝負をしている時には、第三者の口出しは無用という意味が込められていると言われています。

 

碁盤の裏側

参考:活用自在の処方解説 秋葉哲生著

漢方診療のレッスン 花輪壽彦著

漢方診療ハンドブック 桑木崇秀著

症例から学ぶ和漢診療学 寺澤捷年著

Dr.浅岡の本当にわかる漢方薬 浅岡俊之著