今回は、89番の治打撲一方(ぢだぼくいっぽう)です。

打撲による痛みや腫れに保険適応のある漢方薬です。

全部で7種類の生薬で構成されています。

川芎(せんきゅう)は、血のめぐりを改善させる働きがあります。

樸樕(ぼくそく)は、血のうっ滞を解消する作用の他、解毒作用もあります。

川骨(せんこつ)は、止血効果が期待されます。

大黄(だいおう)は、強力な下剤ですが、炎症を抑える効果もあります。

桂皮(けいひ)はからだの表面を温める作用があります。

丁子(ちょうじ)は胃腸の調子を整える働きがあります。

甘草はからだのバランス調整のために配合されています。

全体として、胃腸を守ることを配慮しながら、打撲や捻挫によって引き起こされた血腫による痛みや腫れを解消するお薬に仕上がっています。

経験的には、ぎっくり腰にもよく効く印象があります。

ただし、大黄が入っているので、普段から下痢気味の方には注意が必要です。

治打撲一方は、日本で考案された漢方薬です。

特に、樸樕と川骨は、日本独自の生薬で、治打撲一方の効能に重要な役割を果たしています。

樸樕は、ブナ科のクヌギなどの樹皮が原料の生薬です。

川骨は、スイレン科のコウホネの根茎が原料の生薬です。

治打撲一方は、外傷の絶えなかった戦国時代の軍医たちにより使われ始め、江戸時代に確立したと伝えられています。

コウホネの花

参考:活用自在の処方解説 秋葉哲生著

漢方診療ハンドブック 桑木崇秀著

よくわかる漢方処方の服薬指導 雨谷栄・糸数七重著

漢方診療のレッスン 花輪壽彦著

生薬と漢方薬の事典 田中耕一郎編著