パンプキン・パイとシナモン・ティーに

バラの形の角砂糖ふたつ

シナモンの枝でガラスに三度

恋しい人の名を書けば

愛が叶えられると 娘等は信じてる

 

さだまさしの曲「パンプキン・パイとシナモン・ティー」の一節です。

ウィキペディアによると「待つわ」などのヒットで知られる岡村孝子さんらのユニット「あみん」は、この曲に登場する喫茶店の安眠(あみん)からとったそうです。

栃木のいなかで子ども時代を過ごした私は、この曲を聴いてシナモンティーに都会的憧れを感じたものでした。

はじめて仙台に来た時は、駅のペデストリアンデッキで「都会だ〜」と五木ひろし風の控えめに下から突き上げるガッツポーズをしたのを覚えています。

あれから35年以上経ちましたが、まだシナモンティーを飲んだことはありません。

 

今回は、このシナモン=桂皮(けいひ)の入った柴胡桂枝湯(10番)です。

 

桂皮は多くの漢方薬に含まれています。

あの有名な「養命酒」にも入っていますね。

柴胡桂枝湯は、前回の小柴胡湯のチームに、桂皮と芍薬(しゃくやく)が加わっています。

桂皮は、冷静沈着な司令塔のような役割で前線の暴れん坊の柴胡・黄芩をうまくコントロールします。

芍薬は、どこにでも顔を出して魔法のように現状を打開するイニエスタの様な存在です。

しかもほとんど反則をしません。

東に腹痛の場所があれば行ってさすって治してくれる。

西に筋肉痛のところがあれば行って手をかざして治してくれる。

まるで宮澤賢治の「雨にも負けず」に出てくるような優しい生薬とも言えます。

全体として 柴胡桂枝湯は、小柴胡湯より優しく穏やかに効くお薬になっており、私も良く処方しています。

 

まとめます。

柴胡桂枝湯は、小柴胡湯に桂皮、芍薬が加わった処方です。

風邪などの感染症が長引き、腹痛や下痢、気管支炎、リンパ節炎、筋肉痛などを合併した時に効果があります。

 

 

最後にさだまさしの曲をもう一つ紹介したいと思います。

療養所(サナトリウム)という曲です。

パンプキン・パイとシナモン・ティーと同じく「夢供養」というアルバムに収録されています。

医師として、数多くの患者さんたちとの出会いとお別れを経験し、父を亡くし、母も認知症気味になって来た「今」となって聴くと、ものすごく心に染みる曲です。

今回紹介した2曲を同じアルバムに入れていたさだまさしさんは、本当に天才だと思います。

今日は、敬老の日ですね。

皆さんが穏やかな日を過ごせるよう祈っています。