今回は、124番の川芎茶調散(せんきゅうちゃちょうさん)です。

風邪に伴う頭痛や、月経不順や更年期の方の頭痛に処方される漢方薬です。

川芎(せんきゅう)、荊芥(けいがい)、防風(ぼうふう)、薄荷(はっか)、香附子(こうぶし)、羌活(きょうかつ)、白芷(びゃくし)、甘草(かんぞう)、茶葉(ちゃよう)の9種類の生薬で構成されています。

川芎は、この漢方薬の主薬であり、血のめぐりを改善し、月経調整作用や鎮痛作用のある生薬です。

防風、香附子、羌活、白芷にも鎮痛作用があります。

荊芥、薄荷には発散作用があります。

甘草は、身体の水分バランスを調整するために配合されています。

そして、茶葉は、頭痛改善の効果への期待と味を調えるために配合されています。

ツムラの漢方薬で茶葉が含まれているのは、このお薬のみです。

チャノキの花  ツムラメディカルサイトより引用

茶葉は、チャノキの葉を原料とする生薬です。

古代中国では、解毒のために用いられていたとも伝えられています。

吉川英治の『三国志』の冒頭には、お茶がいかに貴重なものであったかを印象づけるエピソードが描かれています。

劉備玄徳は、病弱な母にお茶を飲ませたい一心で、2年間働いて貯めたお金を使い、高級な茶を買い求めます。

ところが、その帰り道に黄巾族の一味に襲われ、せっかく手に入れた茶を奪われそうになります。

そこを助けたのが、後に劉備の盟友となる張飛でした。

劉備は張飛へのお礼に何を渡すか迷った末、家宝の剣を差し出します。

その後、無事に家へ帰り、ようやく母にお茶を飲ませようとします。

しかし母は、漢王朝の血筋を受け継ぐ者の証ともいえる大切な剣を、劉備が人に渡してしまったことを知って激怒します。

そして、息子が苦労して手に入れた貴重なお茶を、川へ投げ捨ててしまうのです。

母の強い思いに触れた劉備は、自らの出自と使命を改めて胸に刻み、いつの日か漢王朝を再興することを誓います。

その後、律儀な張飛は剣を返しにやって来ます。

さらに、もう一人の英雄・関羽も加わり、物語は一気に大きく動き始めるのです。

参考:活用自在の処方解説 秋葉哲生著

漢方診療ハンドブック 桑木崇秀著

よくわかる漢方処方の服薬指導 雨谷栄・糸数七重著

漢方診療のレッスン 花輪壽彦著

頭痛専門医・漢方専門医の脳外科医が書いた頭痛の本 来村昌紀著

ジェネラリストのためのメンタル漢方入門 宮内倫也著

三国志 桃園の巻 吉川英治著