参蘇飲
今回は、66番の参蘇飲(じんそいん)です。
胃腸が弱く体力のない方の感冒や咳に処方される漢方薬です。
高齢者や妊娠中の方にも負担の少ないお薬です。
からだに元気をつける生薬の人参(にんじん)と気分をさっぱりさせて咳を抑える効果のある生薬の蘇葉(そよう)が主薬なので参蘇飲という名前になっています。
その他の生薬を合わせて、12種類の生薬で構成されています。
人参(にんじん)、茯苓(ぶくりょう)、甘草(かんぞう)、半夏(はんげ)、陳皮(ちんぴ)、生姜(しょうきょう)、大棗(たいそう)は、胃腸を調え体力をつける効果のある六君子湯(43番)から蒼朮(そうじゅつ)あるいは白朮(びゃくじゅつ)を除いたかたちになっています。
除水効果の強い朮を除くことによって、過度に脱水にならないように配慮されています。
前胡(ぜんこ)、桔梗(ききょう)は咳や痰を抑える働きがあります。
葛根(かっこん)は、首や肩の筋肉の凝りを改善させます。
枳実(きじつ)は、消化管の運動を促し、胃のつかえをとる生薬です。
全体として消化力を高めて体力を補いながら、咳や痰などの症状を緩和するお薬となっています。
前胡という生薬は、ツムラのエキス剤では、唯一この参蘇飲に含まれています。
咳や痰を抑える効果のある生薬です。
日本の関東以西の野山に生え、紫色の花を咲かせるセリ科のノダケの根が原料の生薬です。
主に漢方薬の生薬として流通しているのは、中国原産で白色の花を咲かせる白色前胡(ノダケの仲間)の根です。
参考:活用自在の処方解説 秋葉哲生著
漢方診療のレッスン 花輪壽彦著
漢方診療ハンドブック 桑木崇秀著
よくわかる漢方処方の服薬指導 雨谷栄・糸数七重著