五虎湯
今回は、95番の五虎湯(ごことう)です。
咳、気管支喘息に保険適応のある漢方薬です。
同じく、激しい咳や気管支喘息の発作などで処方される55番の麻杏甘石湯に消炎・鎮咳作用のある桑白皮(そうはくひ)が加わって、全部で5つの生薬から構成されています。
桑白皮によって味がマイルドになり、比較的飲みやすいので、小児の咳や喘息に頻用されるお薬です。
五虎湯は、中国の明の時代に書かれた『万病回春』という医学書に記載されています。
5種類の生薬で構成されていること、五臓のうちの「肺」の守り神である白虎を象徴する生薬である石膏が含まれていることが名前の由来となっています。
自然界のすべてのものは、木、火、土、金、水のいずれかの性質を持つという考え方の事を五行論と言います。
これを人体に当てはめたものが五臓です。
すなわち、
木→肝
火→心
土→脾
金→肺
水→腎
となります。
さらに、それぞれのの守り神と象徴する生薬が、
肝→青龍→麻黄
心→朱雀→大棗
脾→麒麟→柴胡
肺→白虎→石膏
腎→玄武→附子
となります。
桑白皮は、桑の根からコルク層を取り除いた白い皮を乾燥させた生薬です。
炎症を抑え、咳や痰を鎮める効果があります。
桑は、蚕の飼料になる他、果樹としても利用される万能な植物です。
参考:活用自在の処方解説 秋葉哲生著
漢方診療ハンドブック 桑木崇秀著
よくわかる漢方処方の服薬指導 雨谷栄・糸数七重著
漢方診療のレッスン 花輪壽彦著
生薬と漢方薬の事典 田中耕一郎編著
絵でわかる漢方医学 入江祥史著
基本がわかる漢方医学講義 日本漢方医学教育協議会編