苓姜朮甘湯
今回は、118番の苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)です。
腰に冷えと痛みがあって、尿が多くて夜尿症に悩まされている方などに処方される漢方薬です。
茯苓(ぶくりょう)、乾姜(かんきょう)、白朮(びゃくじゅつ)、甘草(かんぞう)の4種類の生薬で構成されています。
茯苓は、余分な水分をさばく作用のある生薬です。
乾姜は、からだを温める生薬です。
白朮は、胃の調子を整え、体力をつける効果が期待できます。
甘草は、からだの水分バランスを整えるために配合されています。
全体として、からだの冷えや水分のアンバランスを解消することにより、マイルドに排尿障害を緩和します。
特に、ご高齢で冷え性な方の夜間頻尿に効果を発揮します。
この薬のポイントとしては、生姜(しょうきょう)ではなくて、乾姜が配合されていることです。
生姜も乾姜もショウガの根茎が原料ですが、生姜は生のショウガをそのまま乾燥させたものであり、乾姜は、ショウガを蒸してから乾燥させたものです。
生姜は、吐き気などの消化器症状を抑える働きがある生薬です。
カツオなどの刺身の付け合わせに生ショウガを使うのは、胃をさっぱりとさせる効果があるからです。
一方、乾姜は、からだの芯から温める作用が強い生薬です。
これは、生姜に多く含まれるジンゲロールが温められるとショウガロールに変化する事が関係しています。
こちらの記事もご参照ください。
随分と久しぶりの投稿になってしまいました。
「メディカルスキルラボ長町」というトレーニング施設を作って、ICLSなどの救急蘇生コースを定期的に開催しているので、ブログを更新する余裕がありませんでした。
救急蘇生コースについては、インスタグラムでも発信しているので、よろしければご覧ください。
これからは、また漢方のブログも少しずつ再開していきたいと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いします。
参考:活用自在の処方解説 秋葉哲生著
漢方診療ハンドブック 桑木崇秀著
よくわかる漢方処方の服薬指導 雨谷栄・糸数七重著
漢方診療のレッスン 花輪壽彦著