潤腸湯
今回は、51番の潤腸湯(じゅんちょうとう)です。
高齢者や比較的体力がない方向けの緩下剤として用いられます。
10種類の生薬で構成されています。
黄芩(おうごん)、半夏(はんげ)、枳実(きじつ)、大黄(だいおう)は、いずれも消化管を動かす方向に働きます。
中でも大黄は、西洋薬の下剤であるセンノシドが含まれている生薬で強い下剤効果があります。
当帰(とうき)、地黄(じおう)、麻子仁(ましにん)、杏仁(きょうにん)、桃仁(とうにん)は身体に潤いを与える生薬です。
麻子仁は、アサの実が原料の生薬で、油分が含まれているので、便をなめらかにして出しやすくする働きもあります。
甘草は、身体のバランスを整えるために配合されています。
下剤の他にしっかり身体を保護する生薬が入っているので、高齢者でも安心して使うことができます。
特に、便が乾燥して小さくコロコロとした便(いわゆる兎糞状の便)が出るときに効果が期待できます。
突然ですが、ポケモンゲームバトルの「はかいこうせん」という技をご存知でしょうか?
強力な攻撃技で相手に多くのダメージを与えることができますが、1回技を繰り出すと体力が消耗してしまうので、次のターンは1回休みになってしまいます。
そのため、体力があるときに使わないと、反撃されて負けてしまうことになります。
大黄という生薬は、この「はかいこうせん」と同じであまり体力がない時には、注意が必要です。
そこで、体力や血液を補うように働く生薬が必要になるのです。
ポケモンゲームで言えば、「きのみ」や「げんきのかけら」などのアイテムに相当します。
下剤として処方する漢方薬は色々ありますが、その方の体力や持病、随伴する症状に合わせて使い分ける必要があります。
参考:活用自在の処方解説 秋葉哲生著
漢方診療のレッスン 花輪壽彦著
漢方診療ハンドブック 桑木崇秀著
高齢者のための漢方診療 岩崎鋼ら著
自然の中の生薬 ツムラ株式会社