今回は、61番の桃核承気湯(とうかくじょうきとう)です。

比較的体力があり、のぼせを伴う便秘の方に適応のある漢方薬です。

また、月経不順や月経時の精神不安にも効果が期待できます。

下腹部の圧痛(特に、左下腹部)があることを使用の根拠とする場合があります。

全部で5種類の生薬で構成されています。

桂皮(けいひ)は、のぼせを改善する目的で配合されています。

桃仁(とうにん)は、血のめぐりを良くしたり、便通を滑らかにする働きがあります。

大黄(だいおう)は、強い瀉下作用(余分なものを排泄させる作用)を持つ生薬であり、芒硝(ぼうしょう)は、腸管を潤す効果が強い生薬です。

甘草は、過度に脱水にならないように水分バランスを整える働きがあります。

便秘の解消にとても頼りになりますが、虚弱な方に使うと、さらに体力を消耗する可能性があるので注意が必要です。

妊娠中も使用を控えた方が良いお薬です。

大黄と芒硝が含まれる漢方薬は、承気湯類と呼ばれており、強力な下剤効果を発揮します。

便通を付けることによって、気のめぐりを改善する効果があると言う意味で承気湯と名付けられています。

西洋薬で言えば、大黄はセンノシド、芒硝は酸化マグネシウムのような薬効があります。

承気湯類と言われる漢方薬は、以下のようなものがあります。

桃核承気湯(61番): 大黄 芒硝 甘草 桂皮 桃仁

→のぼせ、月経不順を伴う便秘に

調胃承気湯(74番): 大黄 芒硝 甘草

→桃核承気湯より作用は穏やか

大承気湯(113番): 大黄 芒硝 厚朴 枳実

→肥満体質の方の便秘に

その他、次回取り上げる防風通聖散(62番)通導散(105番)も承気湯類と考えられます。

桃仁は、桃の種子が原料の生薬です。

「仁」がつく生薬は、植物の種子が原料となるものです。

杏仁:アンズの種子

麻子仁:アサの種子

薏苡仁:ハトムギの種子

などが挙げられます。

薏苡仁以外はすべて便通を滑らかにする薬効があります。

これは、種子に含まれる油分による効果と考えられています。

 

桃の花

参考:活用自在の処方解説 秋葉哲生著

漢方診療のレッスン 花輪壽彦著

漢方診療ハンドブック 桑木崇秀著

漢方薬の考え方、使い方 加島雅之著

Dr.浅岡の本当にわかる漢方薬 浅岡俊之著

自然の中の生薬 ツムラ株式会社