人参栄養湯
今回は、108番の人参養栄湯(にんじんようえいとう)です。
病後の体力低下、疲労倦怠、食欲不振、寝汗、手足の冷え、貧血に適応のある漢方薬です。
全部で12種類の生薬で構成されています。
まずは、人参(にんじん)、白朮(びゃくじゅつ)、茯苓(ぶくりょう)、甘草(かんぞう)は、四君子湯(しくんしとう)の構成生薬で、体力・気力を補う基本骨格です。
黄耆も強壮作用があります。
桂皮は、からだを温める効果があります。
当帰(とうき)、芍薬(しゃくやく)、地黄(じおう)は、血を補い、血のめぐりを改善させる働きがあります。
ここまでで、48番の十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)から川芎(せんきゅう)を除いた形になっています。
さらに、五味子(ごみし)、遠志(おんじ)、陳皮(ちんぴ)を加えたのが人参養栄湯になります。
五味子には、咳をおさえる効果があり、遠志、陳皮には、去痰作用があります。
そのため、適応症にはありませんが、体力が低下した方の慢性肺疾患に応用されます。
五味子は、マツブサ科のチョウセンゴミシの果実が原料の生薬です。
甘味、酸味、辛味、苦味、塩味の5つの味があることが名前の由来になっています。
鎮咳作用の他に、汗や下痢を抑える効果があります。
チョウセンゴミシを用いた五味子茶(オミジャ茶)は、韓国の伝統的なお茶の一つで、滋養強壮の効果があるとされています。
今時刻は、2023年の12月31日午後11時を回ったところです。
今年もあとわずかになって参りました。
もうすぐ除夜の鐘も鳴り始めるでしょう。
除夜の鐘は、108個ある人間の煩悩を打ち消すために108回鐘を鳴らすと言われています。
今回は、108番目の漢方薬だったので、何とか今日中に投稿しようと思って頑張りました。
1年間、ご愛読頂いてありがとうございます。
また、来年もよろしくお願いします。
良いお年をお迎えください。
参考:活用自在の処方解説 秋葉哲生著
漢方診療ハンドブック 桑木崇秀著
よくわかる漢方処方の服薬指導 雨谷栄・糸数七重著
漢方診療のレッスン 花輪壽彦著
生薬と漢方薬の事典 田中耕一郎編著
Dr.浅岡の本当にわかる漢方薬 浅岡俊之著
高齢者のための漢方診療 岩崎鋼ら著