排膿散及湯
今回は、122番の排膿散及湯(はいのうさんきゅうとう)です。
患部が発赤、腫脹して疼痛を伴った化膿症、傷、癤(せつ)、面疔に適応のある漢方薬です。
痛みのある歯周病にも応用されます。
桔梗(ききょう)、枳実(きじつ)、芍薬(しゃくやく)、甘草(かんぞう)、大棗(たいそう)、生姜(しょうきょう)の6種類の生薬で構成されています。
この漢方薬は、古典的処方である排膿散(桔梗、枳実、芍薬、卵黄)と排膿湯(桔梗、甘草、大棗、生姜)を合わせたもので、江戸時代中期の漢方医である吉益東洞(よしますとうどう)が初めて用いたとされています。
吉益東洞は、このブログでも度々紹介している戦国時代の漢方医の曲直瀬道三の理論を真っ向から否定した「古方派」の大家です。
彼は、すべての病気は1つの毒に由来するという「万病一毒説」を提唱しました。
また、「薬というものは、すべて毒である。毒をもって毒を制するのだ」と主張して、強力な薬を使った治療を行いました。
桔梗の排膿作用と枳実の瀉下作用で強力に膿を出します。
芍薬は、痛みを和らげる効果があります。
甘草、大棗、生姜は、胃腸を守る組み合わせです。

枳実は、ミカン科のダイダイの未熟な果実を乾燥させたものを原料とする生薬です。
ダイダイは、家が代々繁栄するという縁起物で正月飾りにも使われます。
もう少しでお正月ですね。
正月の準備で用意しているご家庭も多いのではないでしょうか?

ダイダイ
今年は、また心肺蘇生講習会の開催に明け暮れた1年でした。
JMECC(内科救急ICLS講習会)を8回、ICLSコースを6回、そしてICLSワークショップ指導者養成コースを1回開催しました。
ICLSワークショップのディレクター資格も取得したので、来年も定期的に開催したいと思います。
漢方のブログは、なかなか進みませんでした。
来年は、もう少し頻繁に更新できるように頑張りますので、今後とも、どうぞよろしくお願い致します。
参考:活用自在の処方解説 秋葉哲生著
漢方診療ハンドブック 桑木崇秀著
よくわかる漢方処方の服薬指導 雨谷栄・糸数七重著
漢方診療のレッスン 花輪壽彦著
生薬と漢方薬の事典 田中耕一郎編著
基本がわかる漢方医学講義 日本漢方医学教育協議会
