今回は、27番の麻黄湯です。

感冒やインフルエンザなどの急性疾患に良く処方されるお薬です。

高熱や頭痛があり、腰などの関節痛がある時に効果的です。

 

構成生薬は、麻黄(まおう)、桂枝(けいし)、杏仁(きょうにん)、甘草(かんぞう)の4つです。

麻黄と桂枝の組み合わせは、身体の表面を温めて、汗をかかせる働きがあります。

したがって麻黄湯は、まだ汗をかいていない時期に使うことが大切です。

汗をかいた後では、かえって体力を消耗して状態を悪化させてしまうことがあります。

また、元々体力のない方やお年寄りは、適応が難しいお薬です。

アンズの実

杏仁は、あんずの種の中心にある白く堅い部分を生薬にしたものです。

胸の水をさばいて咳などの症状を抑える効果があります。

 

甘草は、全体のバランスを整え、過度に脱水にならないように調整する働きがあります。

 

 

Wikipediaによると、杏仁には、苦みの強い苦杏仁(くきょうにん)と甘みのある甜杏仁(てんきょうにん)があり、漢方薬に使われるのは苦杏仁であり、甜杏仁は、杏仁豆腐などの食品に利用されるそうです。上海など中国の南の地方では「あんにん」と発音されます。

杏仁には、加水分解されると有毒なシアン化水素が発生するアミグダリンが微量ながら含まれており、大量に摂取すると人体に害を及ぼす恐れがあります。

 

漢方薬として用法通りに服用する場合は、全く問題ありません。

 

麻黄湯は、新型コロナ感染の症状の軽減にも応用される事もあると思います。

しかし、熱や寒気があっても汗をかいていない病初期に、比較的体力のある方に限って短期間に使用するべきお薬です。

 

参考:活用自在の処方解説 秋葉哲生著

Dr.浅岡の本当にわかる漢方薬 浅岡俊之著

漢方診療のレッスン 花輪壽彦著

杏仁-Wikipedia 杏仁 – Wikipedia