今回は、31番の呉茱萸湯(ごしゅゆとう)です。

呉茱萸湯は、片頭痛によく処方されるお薬です。

特に、身体やお腹が冷えやすい女性で、発作的に頭痛や吐き気がある場合が良い適応となります。

呉茱萸(ごしゅゆ)、人参(にんじん)、大棗(たいそう)、生姜(しょうきょう)の4つの生薬からなります。

呉茱萸は、ミカン科の落葉小高木であるゴシュユの果実を原料とする生薬で、独特の強いにおいと苦味があります。

お腹を温め、嘔気を抑え、痛みを緩和する働きがあります。

呉茱萸の実とサメビタキ

人参は体力を補う働きの外にみぞうちのつかえ感をとる作用があります。

大棗と生姜は、胃腸の調子を整える組み合わせです。

片頭痛の発作に対しては、トリプタン製剤や鎮痛薬が処方される事が多いと思います。

頭痛が頻繁な場合は、様々な予防薬も処方されます。

茱萸湯も、日本頭痛学会が作成した慢性頭痛の診療ガイドライン2013で片頭痛の治療薬として推奨されています(推奨度B)。

鎮痛薬の使用が過剰になっている時には、一度試して頂きたいお薬です。

近年、呉茱萸に含まれるエボジアミンというアルカロイドが痛みの抑制に関係しているという研究報告があり注目されています。

呉茱萸湯には、ドーピングで引っかかる成分も微量に含まれるため、アスリートの方の服用には注意が必要です。

まずい漢方薬として有名ですが、頭痛に効果のある方は、不思議とすんなり飲めると言われています。

 

参考:活用自在の処方解説 秋葉哲生著

Dr.浅岡の本当にわかる漢方薬 浅岡俊之著

漢方診療のレッスン 花輪壽彦著

慢性頭痛の診療ガイドライン2013 日本頭痛学会

呉茱萸アルカロイド“エボジアミン”のTRPV1を介した生理活性 小林義典 日薬理誌146 135-139 2015

頭痛専門医・漢方専門医の脳外科医が書いた頭痛の本 来村昌紀著