今回は、88番の二朮湯(にじゅつとう)です。

五十肩に保険適応のある漢方薬です。

全部で12種類の生薬で構成されています。

まず、半夏(はんげ)、生姜(しょうきょう)、茯苓(ぶくりょう)、陳皮(ちんぴ)、甘草(かんぞう)は、81番の二陳湯と同じですから、胃の調子を整え、吐き気やめまいを抑える効果があります。

香附子(こうぶし)、羌活(きょうかつ)、威霊仙(いれいせん)、天南星(てんなんしょう)は、痛みを発散させる効果や鎮痙作用がある生薬です。

黄芩(おうごん)は、炎症を抑える働きがあります。

さて、二朮湯は、白朮(びゃくじゅつ)と蒼朮(そうじゅつ)の2つの朮が含まれている事が名前の由来になっています。

どちらも水をさばく作用のある生薬ですが、白朮の方が体力を補う作用があり、蒼朮は除水効果がより強いとされています。

全体として、胃腸が弱く、冷えで症状が悪化するような方の筋肉や関節のだるいしびれや痛みに効果が期待できるお薬となっています。

天南星は、サトイモ科のマイヅルテンナンショウの塊茎を乾燥したものが原料の生薬です。

鎮痙作用の他に去痰作用がります。

まるで鶴が舞い降りた様なビジュアルからその名がついたそうです。

マイヅルテンナンショウ

NHKアーカイブスの動画もご覧ください。

北関東の渡良瀬遊水地の湿地帯で2004年に撮影されたものです。

参考:活用自在の処方解説 秋葉哲生著

漢方診療ハンドブック 桑木崇秀著

よくわかる漢方処方の服薬指導 雨谷栄・糸数七重著

漢方診療のレッスン 花輪壽彦著