今回は、29番の麦門冬湯です。

いわゆる「から咳」に良く処方される漢方薬です。

喉が乾燥して、痰がきれにくく、咳が出始めるとなかなか止まらず、ついには吐き気を伴うような場合に適応があります。

構成生薬は、麦門冬(ばくもんどう)、半夏(はんげ)、人参(にんじん)、大棗(たいそう)、粳米(こうべい)、甘草(かんぞう)の6種類です。

麦門冬は、喉に潤いを与えて、咳を静める効果があります。

半夏は、咳や吐き気を抑える働きがあります。

人参、大棗、粳米、甘草は胃腸機能を整えて、激しい咳が続く事によって低下した体力を回復するために配合されています。

麦門冬は、ユリ科の植物のジャノヒゲの根の膨大部を原料にした生薬です。

ジャノヒゲは、日本が原産の植物です。昔、私の実家の庭にも生えていました。

常緑の葉を密に伸ばして地面を覆うように拡がっていく特徴があり、冬には光沢のある青い実をつけます。

乾燥に強いので、地面に生えている場合は、水やりの必要もありません。

この乾燥に強いという特性から、潤いを与える生薬として応用されたのかもしれません。

 

ジャノヒゲの実

 

参考:活用自在の処方解説 秋葉哲生著

Dr.浅岡の本当にわかる漢方薬 浅岡俊之著

漢方診療のレッスン 花輪壽彦著

よくわかる漢方処方の服薬指導  雨谷栄・糸数七重著

自然の中の生薬 ツムラ株式会社版