今回は、33番の大黄牡丹皮湯です。

比較的体力があって、便器がちで下腹部に痛みがある方に処方するお薬です。

冬瓜子(とうがし)、桃仁(とうにん)、牡丹皮(ぼたんぴ)、大黄(だいおう)、芒硝(ぼうしょう)の5種類の生薬からなります。

桃仁、牡丹皮は血の滞りを取って下腹部の痛みを改善する働きがあります。

大黄は腸管の動きを促し、芒硝は腸管を潤すので、両生薬の組み合わせは下剤として強い作用を持ちます。

冬瓜子は、ウリ科のトウガン(冬瓜)の種が原料の生薬です。

トウガンは、淡泊な味わいで煮物にもよく使われる食材です。

冬瓜子は、膿を排出を促す生薬で、古くから虫垂炎の治療に用いられていました。

これらの生薬の配合である大黄牡丹皮湯は、軽い症状の虫垂炎や憩室炎に抗生剤に加えて補助的に処方される事もあります。

また、体力があって便秘がちな女性の月経痛にも適応があります。

トウガンの花

戦国時代の漢方医を描いた山崎光夫の「曲直瀬道三 乱世を医やす人」の中で、曲直瀬道三が、急な腹痛に襲われた織田信長を診て、腸癰(ちょうよう=今で言う虫垂炎)と診断し、信長の気力体力の強さから大黄牡丹皮湯を選択し、見事に治した場面が出てきます。

しかも、信長は初対面の道三が煎じた薬を毒味をさせずに一気に飲み干したと描かれています。

患者さんとの信頼関係を築く事が治療の第一歩である事をあらためて思い知らされた描写でした。

 

参考:活用自在の処方解説 秋葉哲生著

Dr.浅岡の本当にわかる漢方薬 浅岡俊之著

漢方診療のレッスン 花輪壽彦著

曲直瀬道三 乱世を医やす人 山崎光夫著